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美術品等の減価償却の判定に係る見直し案

現段階では取得価額が20万円未満のものだけが償却可能

現行通達では、美術品等の判断基準として以下のものが示されています。

  1. 書画骨とうは原則、減価償却資産に当たりません。
  2. 「古美術品、古文書、出土品、遺物等のように歴史的価値又は希少価値を有し、代替性のないもの」は、書画骨とうに該当します。
  3. 「美術関係の年鑑等に登載されている作者の制作に係る書画、彫刻、工芸品等」は原則、書画骨とうに該当します。
  4. 書画骨とうに該当するかどうかが明らかでない美術品等でその取得価額が1点20万円(絵画にあっては、号2万円)未満のものについて、減価償却できます。
    これらの内容は一種の外形基準として示されていたものですが、通達発遣後30年余を経過し、美術品等の多様化や経済状況の変化等によって、この通達による基準での判断と、減価償却できる美術品等の範囲がその取引実態とは乖離してきたとし、書きぶりも含めて内容を改正しています。

絵画の号当たりの基準も廃止

通達改正案では、美術品等の減価償却資産に係る判定について、次の基準を示しています。

① 「古美術品、古文書、出土品、遺物等のように歴史的価値又は希少価値を有し、代替性のないもの」は減価償却資産に該当しません。

② ①以外の美術品等で、取得価額が1点100万円以上であるもの(時の経過によりその価値が減少することが明らかなものを除く)は減価償却資産に該当しません。

現行通達の前記2. と同じく、①の古美術品、古文書等については、価値は減少しないことが明らかであるから、減価償却資産に当たらないことを述べています。

②の古美術品、古文書等以外の美術品等については、前記3. の美術関係の年鑑等に掲載の基準を廃止、前記4. の金額基準についても引き上げました。前記3. については、著名な作家でも美術関係の年鑑等に掲載されていない者が多く存在することや、いわゆる愛好会の会員等についても年鑑等に掲載されている実態にあること等、年鑑等の掲載による判断は妥当ではないとしています。前記4. については、市場の一定の評価を得る作者は一般に作品の価格が100万円を超えるかどうかで評価することができるといった専門家の意見等を踏まえているという理由を挙げています。また、作品の価格は必ずしも大きさで決定するわけではないことから、絵画の号当たりの基準も廃止することとしました。

さらに価値減少が明らかであれば100万円以上でも償却可能に

ただ、②については、100万円以上の美術品等であっても“時の経過によりその価値の減少することが明らかなもの”については、減価償却資産として取り扱われることとしました。その具体例が注書きで、「会館のロビーの展示用等として法人が取得するもののうち、移設困難で当該用途にのみの使用が明らかで、かつ、転用するとした場合にその設置状況や使用状況から見て美術品等としての市場価値が見込まれないもの」と示しています。

さらに、時の経過で価値減少しないことが明らかなものを除き、取得価額が1点100万円未満のものについては原則として減価償却資産に該当することも明記しています。

27年1月1日以後開始事業年度等から適用

改正通達案の適用時期については、平成27年1月1日以後開始事業年度において法人の有する美術品等について、平成27年分以後の個人の有する美術品等について適用することとされています。

「有する」とされているため、現在所有の非減価償却資産で管理する美術品等で、改正通達案で減価償却資産と取り扱えるものについても、今後は減価償却資産として償却できることとなります。

以前より装飾品として社内に飾られる絵画などについて償却すべきか、しないべきか判断がむずかしかったものが改正されれば、ひとつの大きな判断基準になりますね。