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消費税率の引上げと印紙税

来年4月1日以降、消費税率が8%に上がる。景気への悪影響も懸念され、企業としては、一層の経費節減が重要となってくるところですが、税務関係においては、税収が1.1兆円(印紙収入・平成25年度当初予算額)に上る「印紙税」の取扱いも重要でしょう。印紙税が課される文書の中には、記載金額の表示形態により有利・不利が生じるものもあるため、改めて取扱いを確認する必要があります。

印紙税法の取扱いでは、一定の文書について、①消費税額等が区分記載されている、又は②税込価格及び税抜価格が記載されていることにより、その取引に当たって課されるべき消費税額等が明らかである場合には、消費税額等を印紙税法上の記載金額に含めないこととしています(消費税法の改正等に伴う印紙税の取扱いについて(法令解釈通達))。

対象は、「金銭又は有価証券の受取書(第17号文書)」、「不動産の譲渡等に関する契約書(第1号文書)」、「請負に関する契約書(第2号文書)」の3点。これらの文書では、記載金額に応じて異なる税率が適用され、また、記載金額が一定額未満の場合は非課税とする免税点が設けられており、消費税額等が含まれないことで、税額や課税の有無等の判断上、有利になるケースがあります。

例えば「金銭又は有価証券の受取書」について、税抜価格29,000円、消費税額等1,450円の品物を販売するケースを想定します。この場合、領収書等に「30,450円(うち消費税額1,450円)」などと記載すれば①に、「30,450円(税抜価格29,000円)」などと記載すれば②に該当するため、消費税額等は記載金額に含めないことになります。従って、これらの印紙税法上の記載金額は29,000円となる。一方「30,450円」や「30,450円(税込)」などと記載した場合には①②に該当しないため、消費税額等を含む「30,450円」が記載金額となる。記載金額が3万円未満の「金銭又は有価証券の受取書」は非課税となるため、①②の表示形態をとったほうが有利ということです。

消費税率引き上げにより、消費税額等を記載金額に含めるか否かは、課税の有無等の判定上、益々重要な意味を持つことになるため、記載金額の表示形態には留意しておきたいものです。

なお、「金銭又は有価証券の受取書」の免税点は、26年4月1日以降、現行の3万円未満から5万円未満に引き上げられる予定です。

(参考:税務通信)