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新会社法のポイント
A.有限会社の廃止と機関設計の柔軟化
−有限会社はなくなり、取締役一人の株式会社も可能に−
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1.新会社法により有限会社制度は廃止されました。
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新会社法において有限会社は廃止され、株式会社に統合されました。
反面、新会社法により株式会社に多様な機関設計が認められるようになり、一定の小規模な会社では、例えば取締役1名、監査役なしといった株式会社が認められるなど、従来の有限会社と同様な株式会社を設立することが可能となりました。 |
→ 現行の有限会社はどうすればよいか?
新会社法施行前(2006年4月以前)の有限会社には2つの選択肢があります。
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今のまま有限会社として残る方法です。この場合「有限会社」の商号を使用しなければな りませんが、ほとんど今までと同様に会社を運営することができます。 |
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有限会社の解散及び株式会社の設立登記を同時に行って株式会社に商号変更する方法です。
新会社法により最低資本金の制限が撤廃され、取締役1人だけを置く株式会社が認められるようになりましたので、株式会社に商号変更する場合に増資や取締役の増員は必要ありません。
ただし、株式会社に商号変更を行った場合には、年に1回は決算公告をしなければならない、最低でも10年に一度は役員変更登記をしなければならない、という影響があります。 |
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2.株式会社の機関設計が柔軟化されました。
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新会社法は、株式会社の「規模」と「株式の譲渡制限の有無」に着目して株式会社を分類し、それぞれの会社において選択可能な機関設計を定めています。
会社の規模について、大会社(資本金5億円以上又は負債総額200億円以上の会社)とそれ以外の会社(中小会社)という区分をし、発行する株式の全部または一部について譲渡制限(株式を譲渡する場合には、取締役会等の承認がいる)がない会社を公開会社、発行する株式の全部について譲渡制限がある会社を公開会社でない会社(非公開会社)と分類しています。2006年5月に施行される新会社法は、これらの分類に応じてさまざまな機関設計ができるよう規定されています。以下、中小会社でかつ非公開会社を例にとって、どのような機関設計が選択可能かを説明します。 |
→ 取締役会を設置するかどうか?
取締役会を設置しないという選択肢があり、最もシンプルな形態として、取締役1人だけの株式会社とすることができます。
例えば、従来の有限会社が株式会社化する場合や個人事業者が法人になるような場合にこのケースが多いと思われます。
他方、取締役会を設置する選択肢もあります。この場合には取締役が3名以上必要であり、そのうち最低1名は代表取締役としなければなりません。
ところで、取締役会を設置しない会社は監査役(会計参与も)の設置は任意ですが、取締役会を設置した会社は監査役か会計参与を置かなければなりません(新会社法施行前の商法では小会社の監査役は原則として会計監査権限しか持っていなかったのに対して、新会社法における監査役は、業務監査と会計監査の両権限を持つのが原則です。ただし、非公開会社である中小会社では、監査役の監査権限を会計監査に限定することができます)。
取締役会を設置するかしないかの違いにより株主の決定権に差が出ます。つまり設置しない会社はほとんどすべての事項について株主総会で決定することが可能ですが、取締役会を設置すると株主総会において株主が決議できる事項は定款に定めた事項及び会社法で定める一定の事項に限定されます。
→ 監査役を設置するかどうか?
中小会社の場合、公開会社・非公開会社の別を問わず任意に監査役、会計参与、会計監査人を置くことができます(前述のように取締役会を設置する会社は監査役又は会計参与のいずれかの設置が強制されます)。
ただし、会計監査人を設置する場合には、監査役を設置しなければなりません。
→ 会計参与とは何か?
会計参与とは、会社の計算書類等を取締役と共同して作成して備え置き、株主や債権者に開示することを責務とする機関であり、新会社法により新たに作られた機関です。
会計参与に就任できる者は、公認会計士、監査法人、税理士、税理士法人に限定されます。会計参与制度には、会計専門家が会社の計算書類等を作成することによる計算書類等の信頼性の向上が期待されています。
→ 特例会社はどうすればよいか?
中小企業新規事業活動促進法における特例として、最低資本金を1円とする確認株式会社(又は確認有限会社)の設立が認められてきました。これらの会社は、同法に基づき設立後5年以内に確認株式会社は資本金1000万円、確認有限会社は資本金300万円に達しなかった場合には解散すると定款に規定されています。
そこで、資本金基準に達していない確認会社が存続し続けるためには、設立後5年以内に増資をして資本金基準をクリアするか、解散条項を削除する定款変更を行い、最低資本金制度のなくなった新会社法に対応する必要があります。
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| 機関設計のフローチャート |
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B. 最低資本金制度の撤廃と現物出資の緩和
| − 資本金1円以上で起業できる。 |
| 500万円以下なら現物出資の検査も不要に− |
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1. 新会社法により、会社の設立が容易になりました。
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| これから会社を設立しようとする人に、大きな影響がある改正がありました。すなわち、最低資本金制度が撤廃されたことと、現物出資制限が緩和されたことです。 |
2.最低資本金制度が撤廃されました。
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新会社法施行以前の商法は、株式会社は1000万円以上、有限会社は300万円以上の資本金でなければならないとしていました(最低資本金)。新会社法は、最低資本金規制を撤廃し、資本金はいくらでもよいこととしました。つまり資本金1円の株式会社も設立可能ということです。
もっとも、資本金は会社信用力のバロメーターの一つですし現実には1円では事業ができません。今後は対外的な信用や必要運転資金は幾ら必要かなどを意識しながら、資本金額を決定することになります。 |
3.現物出資規制が緩和されました。
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新会社法施行以前の商法は、設立の際の現物出資(金銭以外の財産の出資)について、「500万円以下で、かつ資本金の5分の1以下の現物出資の場合」に検査役の調査は不要としていました。
これに対して新会社法では、これを「500万円以下」だけの制限としました。つまり従前は500万円以下であっても資本金の5分の1以上の場合、例えば資本金1000万円の場合ですと200万円以上の現物出資には検査役の調査が必要でしたが、新会社法の場合は500万円以下の現物出資ならば資本金額が小さくても検査役の調査は要らないことになります。
検査役の調査は手続きに数か月を要しますし費用もかかりますので、サラリーマンの独立起業や個人事業の法人成りに現物出資を取り入れたい人にとって朗報です。 |
→ どのような会社設立ができますか?
例えば、自宅で個人事業をしている人を想定します。事業に使用していた車、パソコン、ファックス、机などの資産の時価が合計して350万円だとします。検査役の調査を受けずにこれを350万円で現物出資し、運転資金の現金150万円と合わせて資本金500万円の株式会社を設立することが可能になります。 |
4.設立に関するその他の改正−類似商号規制ほか
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新会社法施行以前の商法は、同じ市区町村内に同一の営業目的の会社で類似した商号の登記をすることを禁じていました(類似商号規制)が、この規制がなくなりました。
また、会社設立の際に株式の払込金保管証明を金融機関に発行してもらう必要がありましたが、発起人(会社設立企画者)だけが資本の払い込みをして設立する方法(発起設立)の場合には払込金保管証明は不要になり、例えば銀行の残高証明書によることも可能となりました。
また、新会社法施行以前の商法において原始定款に会社が発行する株式の総数を定める必要がありますが、新会社法により会社成立時までに決定すればよいこととなりました。
さらに、公告の方法は定款に必ず記載すべき事項でしたが、定款記載は任意となり定款に記載しない場合には官報公告によるとする改正がありました。 |
5.2006年度税制改正に注意が必要です。
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新会社法により新たに会社を設立することがかなり容易になりましたが、他方で節税目的で行われる小さな会社の設立については、節税効果をなくす税制上の手当て(節税封じの税制改正)が講じられることになりましたので、理解しておく必要があります。
従来、個人事業に比べ会社形態にした場合には、実際に使用した経費はすべて会社の経費として落としておいて、経営者が会社から得る役員報酬について給与所得控除を受けられる、いわゆる経費の二重控除ができるメリットがあると言われてきました。
しかし、2006年度税制改正において、経営者がその同族関係者を含めて90%以上の株式を保有し、かつ、常勤役員の過半数を同族関係者で占めている法人については、経営者が受け取る役員報酬の給与所得控除相当額を法人税計算上の損金としない改正が行われました。
この税制改正は、新会社法により会社設立が容易になったことを受け、実質的には個人事業となんら変わらない、節税を目的とする会社制度の濫用を防止する趣旨です。 |
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会社設立に関する改正点
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C. 計算書類についての改正
− 資本の部の計数変動を記載する、新しい計算書類が導入−
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1.利益処分案から株主資本等変動計算書に変わります。
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| 新会社法施行以前の商法において計算書類とは、営業報告書、貸借対照表、損益計算書及び利益処分案を指すとされていました。新会社法では、営業報告書を「事業報告」と呼び替えて計算書類として別のものと規定し、計算書類として貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び個別注記表を作成しなければならないと規定しています。つまり、従来あった利益処分案は廃止され、その代わりに株主資本等変動計算書が登場しました。株主資本等変動計算書とは、期首から期末までに行われた、増資、減資、自己株式の取得・処分、その他利益剰余金等の法定準備金への組み入れや取り崩し、配当金の支払いなど、資本の部の計数の変動に関する事項を記載する計算書です。新会社法により、資本の部の計数の変動が柔軟化した、つまり資本の部の計数が変動する機会が増えることになり従来の利益処分案では対応しきれなくなったことから、株主資本等変動計算書が作成されることになりました。 |
2.「資本の部」が「純資産の部」に変わります。
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| 計算書類のもう一つの大きな改正として、貸借対照表の「資本の部」を「純資産の部」と改め、その表示方法が変わりました。また「資本の部」は従来、資本金、法定準備金、剰余金という区分で表示していましたが、これを資本金、資本剰余金、利益剰余金という区分で表示するようになりました |
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新会社法による計算書類
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D. 合同会社(LLC)と |
| 有限責任事業組合(LLP) |
− 新しい会社形態が設置。同様の組合形態も−
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1. 新会社法で合同会社という会社形態が新設されました。
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新会社法において、比較的少人数で共同して事業を行う組織形態として、新たに合同会社(いわゆる、日本版LLC)が導入されました。
合同会社は出資者全員が会社債権者に対して有限責任を負いつつも、内部組織については、どのような機関を設置するか、利益配分をどうするかなどについて、出資者の合意によりほとんど自由に決定できるという点に特徴があります。
また、新会社法の施行に先立ち、2005年8月に施行された有限責任事業組合法により、合同会社とは別に合同会社とよく似ている有限責任事業組合(以下「LLP」という)という新しい組合制度が制度化されています。出資者(組合員)が有限責任であること、出資者(組合員)の意志により広く内部自治が認められること等の面において、合同会社とLLPは共通している部分があります。 |
→ 合同会社とLLPとの違いは何か?
新会社法で導入された合同会社はあくまで会社ですので法人税の納税主体となりますが、有限責任事業組合については組合自体が納税主体とはならず、組合の構成員に対して課税(いわゆるパススルー課税)することになるという点に大きな違いがあります。また、LLPは組合員全員が業務執行を行わなければなりませんが、合同会社には業務執行に携わらない出資者がいてもかまいません。
その他、合同会社は株式会社に組織変更できるがLLPはできない、合同会社は株式会社との間での合併など一定の組織再編ができるがLLPはできないなどの違いがあります。
→ どちらを選択すればよいのか?
将来的には株式会社への組織変更を目指して継続的に会社運営を行いたいのであれば合同会社を選択するべきことになります。
他方、共同事業ではあるが、事業の損益を出資者の損益に取り込みたいということであればLLPを選択すべきと言えます。
ただし、その場合においても組合で発生した損失を出資者である組合員の所得に取り込めるのは、出資額を限度とするなどの一定の制限がありますので留意する必要があります。
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淵江会計事務所
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